あらすじ
二〇四一年四月。スノダ・ケイは、日本の病院で目を覚ました。彼の手元にあるのは、極寒のチェコの雪山で過ごしたという曖昧な記憶。
そして、十二ヵ国語をも操る、類まれなる言語能力であった。しかし、医師から告げられたのは「アキヒト」という見知らぬ名と、自身の認識とは乖離した経歴だった。鏡に映る顔は、かつて雪山で自分を死に追いやった男に酷似しており、さらにはエントランスで新聞を読む偏屈な中年の幻影すらチラつき始める。
混乱の最中、アキヒトは自らを「国家情報局」と称する偽の親戚に引き取られる。そこで明かされた衝撃の事実は、彼が世界最大の民間軍事会社「トレント・レント・サービス」から日本へ亡命してきた元傭兵であるというものだった。
アキヒトは事実を飲み込めぬまま、情報局の命により、旧岡山地域の外国人特区「イノセント」への潜入任務を命じられる。